アイナ・ジ・エンドの歌声を聞いた人は、だいたいその声を「ハスキーボイス」と形容します。
アイドルらしからぬ、しゃがれたような歌声がそのように表現されるのですが、アイナ・ジ・エンドの歌声ってハスキーボイスという事で良いのでしょうか?
例えば日本の歌手であれば、調べてみると宇多田ヒカルだとか、YOU(そう?古いね。。)だとか、土屋アンナ(・・・?)が出てきます。
宇多田ヒカルの歌声はハスキーとは思ったことは無いですが魅力的です。
でも、やっぱりアイナ・ジ・エンドがこの辺の、いわゆるハスキーボイスの方々と同じ部類かというと、違うんじゃないかなって思います。
ハスキーボイスよりも更に上の聴いたことのない魅力的なボイスであると言いたいのです。
アイナの声は「SNMV」!
ハスキーボイスってなに?
そもそもハスキーボイスってなんなんでしょうか?
ハスキーという単語がトウモロコシの皮の意味のハスクから来ているそうで、そこから、乾いた殻という発想から、カサカサのしゃがれ声をハスキーボイスというようになったようです。
トウモロコシがカサカサのイメージが無いし、茹でればツルツルやんと思いますが。
でも中がジューシーという意味ではなんか、かさついた中にみずみずしさがあるという表現は良いような気がします。
SNMV(スイートノイズマジックボイス)
というわけで、ハスキーボイスというのは一般に感じを伝えるにはまあ近い表現ではあるのですけど、アイナの声はハスキー以上であることを伝えるワードが必要だと思うわけです。
昔、サディスティックミカバンドと言うバンドのギタリストに高中正義というフュージョンギタリストがいました。
彼のルーツはロックではあるのですが、フュージョンの世界にロックミュージックのテイストを掛け合わせて、実に独特の音色のギターを弾いていました。
ギターのひずんだ音は通常「ディストーション」とか「オーバードライブ」とエフェクト(効果音)を形容して言われますが、彼のギター音はアイナのハスキー同様、ディストーションというにはピッタリではなく、「スイートノイズ」という新たな言葉で表現をされていました。
ひずみの中にも甘さがあるような感じです。いい得て妙!
そんな感じで、アイナの声もハスキーボイスというよりは、しゃがれた中にも甘さがあって、涙を誘う音の成分を伴っていると思うので「スイートノイズマジックボイス(SNMV)」と名付けたい。
いや、だれも呼ばないけど、そんな気分なんです。
アイナの魅力的な声が迎えた窮地
そんなアイナの声が2016年に窮地を迎えた事がありました。
独特な声色と発声の影響もあってか、喉の負担から声帯結節という症状が出ていました。
声帯結節手術
アイナは2016年12月の大阪ユニバースでのライブを最後に声帯結節の手術を受けるため一時活動休止をしています。
メジャーデビューシングル「DEADMAN」のレコーディングをしている頃から調子が悪かったそうで、毎回ライブ前にはステロイドを投入して臨んでいたそうです。
実に1年近くも喉に不調をかかえていました。
本人としては手術後、普通のアイドルみたいな声になったらどうしようということが一番の不安だったと述べています。
ちなみに本人は、ハスキーボイスは自分の個性としてしっかり認めています。
BiSHメンバーの活動停止に伴うそれぞれの想い
他のメンバーもアイナが手術に向かうことで、約1ヶ月くらいですがそれぞれの想いを持ち、グループとしても大きな成長と絆を結んだ時期になったようです。
初期から一緒にいるセントチヒロ・チッチはこの手術を経て、みんなが同じ方向を見れるようになったと語っています。これまでは、メンバーとのすれ違いや意見の相違を感じていたようです。
同じく初期メンバーのモモコグミカンパニーはアイナのつらそうな姿をずっと見てきて手術には賛成だったと述べています。そして、自分自身この時期を使って今後どうしていくかを考え、成長につながったと話しています。
ハシヤスメ・アツコは活動休止という初めての状況に不安があったと述べ、しかしすぎてみるとメンバーにとってはそれぞれを磨く大切な時期だったと振り返っています。
一方でアユニ・Dは状況を理解した上で、いずれ手術の日は来ると覚悟をしていたそうで、それによる不安はなかったと述べています。モモコ同様、自分達が何をすべきかを考える貴重な時間だったと振り返ります。
メンバーのなかで最もアイナと仲が良かったリンリンは、つらい姿のアイナを見てきてようやく休みが取れて良かったと、一件落着と感じたそうです。リンリンはアイナにお見舞いに行こうか?と連絡をしてくれたらしく、アイナはそれに涙したというエピソードもあります。
アイナジエンド驚異の歌声|幕張ライブ“REVOLUTiONS”
窮地に追い込まれたアイナの声ですが、手術も成功しSNMVも復活。
アイナの素晴らしいパフォーマンスと歌声を象徴する名曲は多々ありますが、今回は名曲「オーケストラ」と肩を並べる次なる代表作となった「プロミスザスター」にみるアイナの魅力に着目したいと思います。
手術を乗り越えて復活したアイナがとても大切にしている曲のひとつです。
自分の帰る場所「プロミスザスター」
プロミスザスターはアイナの手術後、2017年3月にリリースされました。
この曲はBiSHの作曲を全面的に手がける松隈ケンタ氏が「アイナが手術から復帰したときにしっかり歌える歌だよ」と言ってくれた曲だそうです。
アイナもそれを聞いて、帰る場所を与えてもらえたと思いとても安心をしたと言っています。
なのでこの曲はアイナにとっても命を削ってでも全力で表現をしたい曲なのです。
勝手な解釈ですが、この手術からの一連の出来事を追い、松隈氏の想いなども聞くと、プロミスザスター自体が苦境を乗り越えたアイナとそのメンバーの絆を語った曲として私にはぶっ刺さってくるのですが、皆さんはどう思いますか?
アイナジエンドの驚異のパフォーマンス
手術を乗り越えて「プロミスザスター」を帰る場所に復活したアイナとBiSH。
そしてそのエピソードの導線に火をつけ2017年4月からスタートした「BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED」。
その最終公演が、ツアーファイナル「REVOLUTiONS」として幕張メッセで開催されました。
このファイナルはメンバーみんなも満身創痍で、吐いたり、泣いたり、アイナ自身もそんなメンバーを見ながら相当プレッシャーを抱える中スタートしました。
この曲はオーケストラからスタートするライブで、チッチは自分の歌声からスタートするということにかなりの重圧を感じていたと語っています。
また、このライブを仕掛けたWACKの社長、渡辺淳之介の経営者としての力量も半端じゃないなと思うのです。
この幕張メッセの会場を押さえたのが、メジャーデビューをした2016年ごろと1年以上も前だったそうです。
まだそのころは千人希望のライブハウスがようやく埋まる力量だったBiSHでしたが、社長はBiSHを信じ、会社が潰れる覚悟を持ってブッキングをしたのです。
こりゃWACK所属のアイドル達に慕われるわけだとも思いました。
そして、このライブのアンコール一発目で披露されたのが「プロミスザスター」でした。
ここまで述べてきたストーリーと色々な感情が入り混じったものと、命を削る覚悟のアイナのパフォーマンス含め、こんなにもエモいライブが実現されたのです。
そんなストーリーを感じながら是非映像をご覧いただければと思います。
※一部コメントは「ぴあMOOK BiSHぴあ」より抜粋
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