BiSHはどの曲も最高に良いけど、特に「遂に死」は生粋のメタル大好きオジサンがハマる曲だね!
「遂に死」が収録されている3枚目のアルバム「CARROTS and STiCKS」
「遂に死」はこのアルバム制作の前にEPで発売された「STiCKS」の1曲目に収録の最初に制作された曲です。
「STiCKS」の楽曲たちは、もう一枚の売れ線でカッコいいがテーマのEP「CARROTS」に反して、売れなくても良い振り切った攻撃的な曲だけ!と言う構成になっています。
このEP、ミックスにこだわっており、全てBiSHサウンドプロデューサーの松隈氏の手でミックスされた曲となっています。
そして、この楽曲制作の際に参考にしたアーティストがロック大好きオジサンを喜ばせるロック界のカリスマ「マリリン・マンソン」です!
「遂に死」のミックス
松隈氏曰く、このEPで聴こえるノイズや汚い音というのは、サウンドを綺麗に仕上げようとするエンジニアでは創りにくいと言うことで、クリエーターである松隈氏が全てのミックス作業を手掛けることとなりました。
ミックスとは?
そもそもミックスとはなんでしょう?
簡単に言うと、ボーカル、ドラム、ギター、ベース、シンセなどをそれぞれに収録して、その音(トラック)の音色や音量のバランスやらを調整していく作業のことです。
松隈氏もよく言っていますが、作詞や作曲はレベルの差はあれ誰にでも出来る作業。
一方でミックスなどは誰もができることではなく、音源の配置やピッチ調整など綿密な作業はまさに職人技でこのサジ加減ひとつで聴き手に刺さるかどうかが決まるくらいの重要な作業なのです。
「遂に死」の制作
この「遂に死」に関しては、ノイズをカットして綺麗なサウンドを作り出そうとするミキサーやエンジニアには託さず、クリエーターとして松隈氏がミックスに取り組みました。
「STiCKS」全般に言えますが、ディストーションという歪んだ音を出すエフェクターをかけてボーカルを収録しミックスして、その後、さらに全てにディストーションをかけると言うノイズ盛り。
よく聴いていると、最初にキーーンと言う音がなってたり、スピーカーが反響してピーピー言っている音なんかがそのまま入っています。
エンジニアであれば綺麗に処理してしまう音もカッコいいということでそのままにしているんですね。
そして、参考にした音はインダストリアル・メタルのケミカルでノイジーな音でした。
BiSH「遂に死」の参考バンド
その音源は泣く子も黙るインダストリアル・メタルのカリスマ的存在であるマリリン・マンソンです。
松隈氏もBiSHが所属する事務所WACKの渡辺社長もこの時代のロックが非常にお好みです。
40代のゴリゴリのロック好きオジサンがBiSHにWACKにとひきこまれるわけです。
さて、ここからはまたロック好きの人々が黙っていない領域になってきますが、わたしの解釈で話を進めさせてもらいます。
インダストリアル・メタルの主要バンド
そもそも、インダストリアル・ミュージックというジャンルは、1977年のスロッビング・グリッスルの1stアルバム「The Second Annual Report」に「工業生産される大衆音楽」と皮肉ってコピーが書かれたのがきっかけであり始まりとされています。
ここからは、アメリカのインダストリアル・メタルシーンに目を向けてみます。
サンプリングと打ち込みやディストーションの効いた電子的な音楽にスラッシュメタルの要素を加えた音楽を発信し始めたのがミニストリーと言う1981年結成のアメリカ出身のバンド(ユニット?)。
90年代にカナダでロックに過ごしたわたしの記憶では、このバンドこそがインダストリアル・メタルと言うジャンルの先駆者だと思っています。
その後、ミニストリー的解釈で様々な後続バンドが生まれましたが、その中でも1989年にデビューのナイン・インチ・ネイルズは音楽性に加えて過激なパフォーマンスとビジュアルで、これまでアンダーグラウンドだったインダストリアル・ロックを一気にメジャーな音楽ジャンルとして引き上げたバンドだったと言えるでしょう。
そして1993年、ナイン・インチ・ネイルズのフロントマンであるトレント・レズナーが注目し、トレントの立ち上げたレーベルであるナッシング・レコードからデビューを果たしたのがマリリン・マンソンでした。
マリリン・マンソンと言うロックスター
マリリン・マンソンはバンド名でもありますし、このバンドのカリスマ的ボーカリストの名前でもあります。
彼の幼少期のねじれたトラウマから、すっかりアンチ・キリスト教となり、音楽性にも色濃く影響が出ています。
インダストリアル・メタルの説明をしておきながらなんですが、マリリン・マンソンの音楽性はインダストリアル・メタルにとどまらず、ハードロックでありメタルであり、オルタナでありポップであると言う幅広い音楽性を備えています。
先ほどご紹介のミニストリーなどに比べるとよっぽど聴きやすい音楽だと思います。
松隈氏が「参考にしたのはマリリン・マンソンのようなインダストリアルな音楽」と言ったのも、「遂に死」のようなディストーションかかりまくりのデジタルサウンドでありながら聴き心地の良い音楽性をもってしてマリリン・マンソンを参考にしたんだな、と勝手に納得しています。
BiSのMV制作の際もマンソンを参考にしていましたね。
また、マリリン・マンソンが注目なのは音楽性もさることながら、マリリンの突拍子もないカリスマ的なキャラクターやプロデュース方法でしょう。
BiSHのようなおかしな芸名
BiSHとの共通点の一つとしては、マリリン・マンソンのバンドメンバーたちの奇妙な芸名です。
原則、初期のメンバーは皆さん有名人と犯罪者のお名前をドッキングさせた芸名となっています。
もちろん、マリリン・マンソンの「マリリン」は美の象徴であるマリリン・モンローから拝借。
「マンソン」の方は悪の象徴である殺人鬼チャールズ・マンソンから拝借しています。
他のメンバーもこのようなノリで命名。
BiSHっぽいでしょ?
コロンバイン高校銃乱射事件
極めて過激なキャラクターなんで数々のトラブルや訴訟に巻き込まれています。
中でも象徴的な出来事がコロンバイン高校銃乱射事件。
1999年4月20日にアメリカコロラド州のコロンバイン高校に、同じ高校の生徒2人が銃を持って生徒12人と教師1人を射殺して自殺した事件は記憶にある方々もいるかと思います。
メディアでは2人はマンソンの影響を受けていたということで報道。
後日、2人はマンソンのファンじゃないと話しましたが、その事実は殆ど報道されることはなく、いまだにマンソンの影響で引き起こされた事件だと思っている人が多いのです。
また、この事件に勇んで攻撃を強めたのがアンチ・キリスト教のマンソンに対して、アンチ・マンソンであるキリスト教信者たちでした。
この事件をテーマにしたマイケル・ムーア監督の映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」にはマンソンも出演しており、事件に関する監督によるインタビューにも答えています。
興味のある方はぜひ。
と言うようなことを念頭にもう一度、「遂に死」を聴きなおしてみるとロックなゾワゾワ感が楽しめると思います!
おまけ
マリリン・マンソンをカバーしていたデスボイスの女の子の歌唱ギャップが楽しかったのでシェアします。
先ほどご紹介の「This Is The New Shit 」のカバーですね!
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